英語音読の効果とは?正しい5つの手順+レベル別おすすめ教材10選
英語が話せるようになりたいけど何から始めたらよいのかわからない・・・そんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?または、「音読」が効果的だと聞いたけれど正しいやり方がわからない、あるいは、毎日「音読」をしているけれどいまいち効果が感じられない・・・そんな方もいらっしゃるかもしれません。
実は、「音読」はスピーキングだけでなく、リスニングや発音、さらには英語読解力の上達にも役立つトレーニング方法なのです。この記事では、自分の英語に自信が持てるようになる!効果的な「音読」のやり方や注意点をご紹介します。
1. 英語の上達にも「筋トレ」が必要!?
みなさんは、英語学習と聞くとどんなことを思い浮かべますか?学生時代に英語科目が好きでなかった方の中には、単語や文法など覚えることがたくさんあって苦手意識を持っている・・・という方もいるかもしれませんね。辞書を引きながら時間をかけて英語の長文と格闘したり、英語を日本語に訳したりする作業にうんざりした思い出をお持ちの方もいるでしょう。
「英語が話せるようになりたい!」と思うのであれば、そういう英語に対するネガティブな思いはすべて忘れてください。英語は、机に座って学習するだけではだめなのです。英語のスピーキングを上達させるには、スポーツと同じように筋トレが必要。英語がスラスラ口から出てくるように、「英語筋」を鍛えるトレーニングが不可欠なのです。
実際に「英語筋」という筋肉があるわけではありません。でも日本語を話すときに使う筋肉と英語を話すときに使う筋肉は明らかに違います。それも口の回りの筋肉だけではありません。舌の筋肉、首の筋肉、腹筋など、英語をスムーズに話すためには、今まで考えもしなかった筋肉まで鍛える必要があるのです。
そう考えると、「英語筋」を鍛えるトレーニングをしていない人が「英語が話せない」と苦手意識を持つのは当たり前のことですよね。野球で言えば「素振り」のような地道なトレーニングをしたこともないのに、突然バッターボックスに立たされてもホームランを打てないのと同じです。
まずは、英語の上達には体育会系のトレーニングも必要だという意識改革が大切。もちろんダンベルやバットは必要ありません。英語を話すことに慣れるための「英語筋トレ」を英語学習メニューに取り入れ、毎日コツコツとトレーニングに励むうちに、だんだんと自分の英語に自信が持てるようになっていきます。
「英語筋」を鍛える、簡単で毎日続けられるトレーニング・・・それが「音読」です。
2. 「英語筋」を鍛える「音読」の効果とは?
「音読」=声に出して読むことは、思った以上にいろいろな効果があるようです。脳を活性化させる効果があるということで、認知症予防の効果も期待されているほど。脳が活性化されるのであれば、英語学習に活用しない手はありませんよね。では具体的にどのような効果があるのか見ていきましょう。
2-1. 英語の発音やリズムが自然に身につく
詳しい音読トレーニングのやり方や手順については「3. 効果的な音読トレーニングのやり方」で説明しますが、基本的にネイティブスピーカーが話す英語をお手本にトレーニングをしていきます。
ということは、トレーニングを積めば積むほど(お手本に忠実に練習を重ねれば重ねるほど)、正しい英語の発音や間の取り方、そしてアクセントやイントネーションといった英語特有のリズムが体に染みついてきます。逆に言えば、英語の発音やリズムが自然と身につくまで、地道にトレーニングを重ねることが大切です。
これは理屈ではありません。毎日の素振りで正しいフォームを身につけホームランバッターを目指す野球選手のイメージです。ここで重要なのは「正しいフォームを身につける」という部分。すなわち、間違った発音で音読を何百回も繰り返すとか、適当な読み方で高速読みをしても効果が出ないということです。(詳しくは、「4. 音読で注意すべき2つの落とし穴」をご覧ください。)
同時通訳者でも、通訳の現場へ行く前に、その日の会議資料を音読したり、英字新聞を音読したりするそうです。私は翻訳をするときですら、頭を瞬時に英語モードに切り替えるために英文原稿を音読することがあります。まさに脳が活性化され、英語のリズムがよみがえってくる感覚。実はこの感覚は、誰でもトレーニングによって身につくものなのです。
2-2. 英語を英語の語順のままスラスラ理解できる
「音読」には、もう1つ重要な効果があります。それは「英語を英語の語順のまま理解する力」がつくこと。英語を英語の語順のまま理解するとは、読んだ(聞いた)英語を前に戻らずに、頭から順に理解することです。
例えば、I played tennis with my father yesterdayを「私は 昨日 お父さんと テニスをした」
と訳してしまうと、英語の語順ではなく日本語の語順で理解していることになります。反対に「私はテニスをした/お父さんと/昨日」と英語の語順のまま理解することに慣れると、英語を読むスピードもリスニング力も大幅にアップします。
その理由は、日本語と英語の語順の違いにあります。「音読」で英語を口からスラスラ出すトレーニングを続けると、いちいち前に戻って日本語に訳しながら読むクセが改善され、英語を頭から順に理解することができるようになります。そのおかげで、読むスピードもリスニング力も同時にアップできるというわけです。
3. 効果的な音読トレーニングのやり方とは?
では、自分の英語に自信が持てるようになる、効果的な音読トレーニングの方法をご紹介します。
3-1. これだけは外せない音読教材の条件
基本的に、自分に興味のあることが書かれている英文でなければ続かないでしょう。「これはおもしろい、毎日読みたい」と思えるようなものが理想です。
わからない単語が多すぎる、自分には構文が複雑すぎる・・・といったレベルが高すぎる教材も考えものです。音読トレーニングで重要なのは続けること。つまらないとか、難しすぎるとか、挫折の要因はできるだけ排除しましょう。(具体的な音読教材については、「5. レベル別 おすすめ音読教材」を参考にしてください。)
以上をふまえた上で、1つだけ絶対に外せない条件があります。それは、お手本となる英語の音声が入手可能なものであること。特に、英語の発音やリズムに自信がない段階での「音読」には、読むための英語(テキスト)と聞くための英語(音声)の両方が必須です。
3-2. 具体的なやり方・手順
- テキストを見ずに、大まかな内容をつかむつもりで、音声をひと通り聞いてみる
- テキストを目で追いながら、音声を聞いてみる
- 知らない単語や表現を辞書で調べ、内容をすべて理解する
- 発音、音の強弱・抑揚、音と音のつながりなど英語のリズムを意識しながら、音声に合わせて音読する(→ お手本の英語を完全コピーできた!と自信が持てるまで)
- 音声に合わせてスラスラ音読できるようになったら、今度は音声なしで自力で音読する
まず1〜5の手順にしたがって、1つの教材にじっくり取り組んでみましょう。音読をする回数は多ければ多いほど効果的ですが、ステップ4と5はそれぞれ1回のトレーニングで最低10回以上は必要です。ただし、回数だけを目標にすると雑な音読になってしまう恐れがあるので、1日30分とか1時間とか、音読トレーニングの時間を決めておくのがよいでしょう。
ちなみに、以前英語コーチングを受けられていた高校の英語教師の方は、1日3時間の音読を日課にしていました。何よりも重要なのは、英語がスラスラ口から出てくる感覚を毎日楽しみながら続けることです。
4.「音読」で注意すべき2つの落とし穴
音読トレーニングは、正しい方法で継続すると、スピーキング力だけでなく、発音も上達し、リスニング力や読解力もアップする効果的な英語学習法です。逆に言えば、正しい方法で行わないと、単なる機械的に英語を読むだけの作業になってしまい、効果は出ません。特に、次の2つの落とし穴には注意が必要です。
- 話の流れを意識せずに、ただ英語を目で追いながら声に出している
- 間違った発音や英語のリズムで、音読を続けている
上のようなやり方で、内容を理解せず無意識に自己流の読み方を何時間続けていても、費やした時間に見合った効果は期待できません。こうした落とし穴に落ちないように、しっかり内容を理解しながら、じっくり英語を味わうように音読するのが成功の秘訣。
つまり、上で説明した「3-2. 具体的なやり方・手順」の3と4のステップがとても重要になります。単語も発音も構文も意味もすべて、テキストと音声でしっかり確認してから音読へ進むのが効果的なやり方です。
5. レベル別 おすすめ音読教材
毎日の英語学習に音読トレーニングを取り入れてみたいけれど、どの教材から始めたらよいのかわからない・・・という方のために、いくつかおすすめ教材をご紹介します。
【超初心者向け】60歳からはじめられるゆっくりていねい英会話(杉本正宣/秀和システム)
60歳以上の方に限らず、ゆっくりていねいに英会話の学習を始めたい、あらゆる年齢層の方にピッタリな入門教材です。この本で紹介されている方法はいたってシンプル。「英語をスローモーションで音読する」だけ。71歳の女性もこの方法でキレイな英語を身につけたという実績があるそうです。英文に黒丸が付いている音を「長く高低差をつけてゆっくり読む」ことで自然と英語のリズムが身につきます。
内容も、「あいさつ」から始まり、「自己紹介」「2020年東京オリンピックについて」、さらには海外旅行先で使える表現も出てくるので、毎日の音読トレーニングで自然と英会話力もアップしますね。
【英語初級者〜】ディズニーRead-Along Storybook and CDシリーズ
とにかく英語の音とリズムを楽しみながら、音読の習慣をつけたい方におすすめのシリーズです。カラフルな薄いテキスト1冊にCD1枚が付いたセットで、気軽に音読トレーニングが始められます。子ども向けのお話だからといってあなどれません。CDに合わせて「感情を込めて」音読しているうちに、自然と英語の発音やリズムが体に染み込んでくるのが実感できます。
アマゾンのサイト内で「disney read-along」と検索すると、アナ雪〜モアナ〜アラジン〜美女と野獣〜スターウオーズ〜まだまだたくさんのタイトルが出てきます。小さいお子さんがいらっしゃる方は、一緒に選んで読み聞かせをしてあげるのも楽しいですよ。
【英語初〜中級者向け】英会話・ぜったい音読シリーズ(國弘正雄他/講談社インターナショナル)
入門編/続・入門編/標準編/続・標準編/挑戦編/続・挑戦編と続くシリーズなので、自分のレベルにあったテキストを選んで音読トレーニングができます。「同時通訳の神様」として知られる國弘正雄先生が監修されたシリーズなので、やりごたえはあると思いますが、それだけ効果も期待できますね。
TOEICスコアにもとづく教材おすすめレベルは、以下を参考にしてください。(アマゾン「商品の説明」より)
- 470点まで:入門編
- 470〜600点:標準編
- 600点以上:挑戦編
TOIECの点数が高い方でも「読めるけど話せない」というスピーキングに苦手意識のある方にも使える教材です。音読トレーニングは、「読める英語」を「話せる英語」に変えるトレーニング法でもあるのです
【英語中級者以上】速読速聴・英単語Core 1900(松本茂他/Z会)
タイトルに「速読」「速聴」「英単語」と並んでいるだけあって、この1冊で単語力、熟語力、速読力、リスニング力が同時に養えるお得な教材です。さらに「環境」「教育」「社会」「政治」「経済」といったトピックが網羅されているので、英語で幅広い背景知識を身につけたい方にもピッタリですね。
この教材が音読教材として使える点は、レベルに合わせて英語音声の再生スピードがfastかslowの2つから選べること、そして英文の「意味のカタマリ」ごとにスラッシュ(斜め線)が入っているので、音読をする際の「間の取り方」が明確なことです。
もう1つ上のレベルを目指すには→速読速聴・英単語Advanced 1100(松本茂他/Z会)があります。上記のようなスラッシュは入っていません。TOEICスコア800〜990、英検1級を目指す人向けです。
ここでご紹介した教材以外でも、自分に興味のある内容が書かれた英文で「3-1. これだけは外せない音読教材の条件」を満たすものであれば、どんなものでも音読トレーニングに活用できます。毎日続けるのが楽しいと思えるものが良いですね。「音読」は選ぶ教材によって、超初心者〜上級者まで幅広く効果が発揮されるトレーニング法です。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか? 「英語が話せるようになりたいけど、何から始めたらよいのかわからない」「英語のスピーキングにもっと自信を持ちたい」「読めるだけの英語を超えた、もっと総合的な英語力を身につけたい」という方には、ぜひ音読トレーニングをおすすめします。次のポイントをしっかり押さえて効果を最大限に発揮させましょう。
- 英語の上達にも、筋トレが必要
- 「音読」は、英語筋を鍛える効果的なトレーニング法
- 音読の効果①:英語の発音やリズムが自然に身につく
- 音読の効果②:英語を英語の語順のままスラスラ理解できる
- 音読トレーニングには、自分の興味ある内容+お手本となる英語音声のあるものを使う
- 内容を理解しながら、じっくり英語を味わうように「音読」するのが成功のカギ
しっかりとした方法で音読トレーニングを続ければ、スピーキング力だけでなく、英語の総合力がグーンとアップします!効果を実感できるまで、継続あるのみ。英語がスラスラ口から出るようになれば、世界中の人たちとコミュニケーションができるようになります。そうすれば、海外旅行が100倍楽しくなりますよ。海外出張や英語会議も待ち遠しくなるかもしれませんね。もちろん、TOEICや英検対策にも大きな効果を発揮します。